傷
やけど
やけどは、医学的には「熱傷(ねっしょう)」といい、熱湯や火災など高温のものに接した時に起こる皮膚の損傷のことです。
やけどの重症度は面積と深さで決まります。面積の判定方法は成人と小児で違いますが、深さは、表面の色調からⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度と分類されます。
Ⅰ度は表皮まで、赤くはなりますが皮膚表面は乾燥しています。
Ⅱ度は真皮まで、皮膚は薄赤から白になり水ぶくれができ、強い痛みがあります。
Ⅲ度は皮下組織まで、黄色から黒っぽい色になり、表面は乾燥あるいは炭化します。痛みすら感じなくなります。
お湯などによる熱傷で軽症の場合は外来での治療が可能ですが、熱傷度によっては入院治療、救急センターでの集中治療が必要となります。
やけどをしたときは、すぐに創部を十分に冷やすことが重要です。衣服の上から熱湯がかかった場合などは衣服の上から流水で冷やしましょう。その後病院を受診するときも冷やしながら行くことがベストです。
すり傷、きり傷
すり傷とは、転んだり、滑ったりしたときに地面や壁に皮膚をこすったときにできる傷です。肘、膝、手、頬などの衣服から出ている部位によくみられます。傷口に砂やアスファルトが入ることで膿んで傷が残りやすくなる可能性もあります。すり傷ができたらまずは水道水で洗い流してキレイな状態にしましょう。
きり傷とは、包丁やカッターナイフなど鋭いものに当たったときにできる傷です。傷の深さは浅い物から深いものまでさまざまです。傷の深さが浅い場合は、しばらく圧迫することで出血をとめることができます。しかし、屋外にある汚いものと接触してできたきり傷の場合は感染の危険があるため、しっかりと消毒して、外用薬を塗る必要があります。
圧迫をしても出血が止まらない場合、形成外科や皮膚科などを受診しましょう。状況によっては縫合(ほうごう:傷を縫い合わせること)が必要です。
ケロイド
ケロイドは、ケガややけど、ニキビ、手術など皮膚に傷あとができたことがきっかけで起こります。皮膚は傷の範囲を超えて赤く盛り上がり、強い痛みやかゆみがあります。ケロイドの発症には、ケロイド体質(傷あとがケロイドになりやすい体質)が関係しているともいわれています。
ケロイドに似たものに肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)があります。「皮膚の盛り上がり、痛みやかゆみがある」という点では同じですが、これらの症状はケロイドの方が強いです。傷あとが目立つ場合や、痛みやかゆみにより生活に支障が出ている場合は、形成外科にご相談ください。
ピアスケロイド
耳にピアスの穴をあけたことが原因で炎症がおこり、ケロイドになることがあり、これをピアスケロイドといいます。ケロイドは皮膚が赤く盛り上がり、痛みやかゆみを伴います。
わずかな外傷でもケロイドになる可能性があります。耳に穴を開ける行為は、外傷と同じですので注意が必要です。特にケロイド体質の方はピアスの穴あけも避けた方がよいでしょう。ケロイド体質ではない方でも、ピアス穴の状態がよくないままで放置していると炎症がひどくなり、ケロイドになります。異変に気づいたときは、皮膚科を受診してください。